離婚した父が交通事故で亡くなった時に起こった遺産相続トラブル
離婚した父が亡くなり遺産相続トラブルの記事を書こうと思ったきっかけ
遺産相続関連の記事を書こうと思ったきっかけは、身内が亡くなった事のトラブルやもめる事柄や手続きについて、多くの人に知ってもらいたいと思ったからです。 というのも僕(watamasa)は母子家庭で、離婚後20年ほど経った頃に父を事故で亡くしました。
離婚した後も父に気軽に会えるような環境なら少しは父の生活状況や収入などもある程度把握できたのですが、生前住んでいた家に上がるのも父が亡くなった後だったので、約20年ぶりに父を見たのは遺影でという感じでした。
僕の家は世間的に見てお金持ちという家ではなく、生活水準を上中下で表すと下の中といった所です。
夕食のおかずは一品(メインのおかず+ごはん)で終わりと言うような生活です。
こんな家庭環境の人でも今回記事に書く様な遺産相続で大変な思いをする可能性があるという事を知っておいていただきたいから記事にすることにしました。
1.残された家族に生前に遺産の整理しておくことの大切さ
疎遠だった父の事故を知ったきっかけ
父が亡くなったという連絡をもらったのは亡くなった数日後というわけではありませんでした。
実家に叔母さん(父の姉)から電話が入りました。
叔母さん「父が交通事故で亡くなったので家に顔を出してほしい。」 という電話だったそうです。
電話を受けた母も???だったそうです。
というのも冒頭でも説明したのですが、父と母は約20年程会っていませんでした。
そんな状況にも関わらず今回の電話が来てびっくりしていました。
事情がほとんどわからないままでしたが、数週間後に父にお線香をあげに行くことになりました。
父が亡くなった原因
父の生前住んでいた実家に到着して叔母さんと叔父さんと会い、今回呼ばれた理由と父が亡くなった状況を聞きました。
父は外出中に車に轢かれて即死だったそうです。
割とあっさりと書いてますが、父と離婚した時の僕は小学生低学年くらいだったのですが、その頃の父との思い出は良い父親という思い出がないため、どちらかと言えば嫌いでした。
僕には3歳上の兄がいたのですが、僕よりも頭もよく聞き分けのいい子だったため、普段から父には兄と比べられてこう言われていたのを今も覚えています。
「お前はダメな奴だな。」 と叱られていた記憶を鮮明に覚えています。
ただ離婚して暮らすようになって、10年位経った頃に仕事やこれから先の事で迷った時にたまにこう考えたこともありました。
「父がいたらどんな言葉をかけてくれたんだろ。」 亡くなる前に一度は話してみたかったです。
亡くなった原因はわかりましたが、叔母さんたちが僕らを呼んだ理由も話していくうちにわかりました。
父が亡くなった原因が交通事故で、相手側は車で父は歩行者という事で、慰謝料が請求できるという事でした。
ただ亡くなった父の兄姉(叔母さんと叔父さん)が請求した場合だと通常の請求額よりも減額?か請求ができないという事で、僕らの所に連絡をしたそうです。
慰謝料
「慰謝料」という言葉を生活していて聞いたのは初めてでした。
というのも生活をしていて事件や事故などに合う事がなかったため聞きなれない言葉で、聞いたとしても刑事ドラマや弁護士系ドラマでしか聞いた事がなく人生の中で実際に聞くとは思いませんでした。
叔母たちの話を聞いて今回呼ばれた理由も分かったので、その場では明確な返事はせず、この話を持ち帰り検討することにしました。
帰りの車内で、小さな家族会議が開かれました。
この時は慰謝料を請求するという事は遺産も一緒に受け取るものだと家族全員思っていたのですが、後々わかるのですが、「慰謝料請求」と「遺産相続」というのは全くの別物という事がわかりました。
家族会議した結果
小さな家族会議をした結果、僕・母・兄とそれぞれ意見は異なっっていました。
母「お金にだらしない人だから借金を作るような人だったから借金があるかもしれないから相続を全放棄したほうがいい。」
兄「叔母さんたちはいい人そうだし、父も迷惑かけたと思うから請求を手伝ってあげて、自分たちの受け取る金額の半分以上は叔母さん達に上げたほうがいい。」
と言っていましたが、僕はそんな二人とは考えが違っていました。
僕たちが小さいころに父がいない事で母はお金の事でとても苦労したと思います。
僕はほとんど覚えていないような赤の他人にお金なんてあげる義理はないし、母が苦労した分をもらうのがいいと思っていました。
今回連絡してきたタイミングも亡くなった直後ならわかりますが、葬式にも立ち会えずに叔母たちではお金の請求が出来ずに仕方なく電話してきただけという風に感じられました。
この時の僕の考えは ”相続できる部分は全てもらってやろう”と思っていました。
2.慰謝料を請求するまでの経緯
家族間での遺産についての方向性
話を聞いたときには家族間では具体的に遺産の放棄or相続の事については、なにも決まっていませんでした。
漠然と「事故の慰謝料の請求だけはしなきゃなぁ」って感じでした。
今回の件については、相続権利や請求権があるのは、正規の金額で請求できるのは子供である僕達兄弟だけでした。
(そこまで調べていないのですが、叔父、叔母は減額or請求ができないらしい)
という事で請求をする事になりました。
担当弁護士の選定
請求をすることは決まったのですが、裁判にも縁遠かったためまずは弁護士を探さなきゃってことで、兄弟で別な弁護士をそれぞれ探して、比較して決めようとなり、僕はハローワークの紹介で利用できる弁護士がいることを知っていたので、役所から紹介された弁護士(法テラス?)を見付けて条件を聞きました。
手数料がとても安いのが魅力的だったので、兄にすぐ報告しました。
一方の兄は加入している保険会社の人に人と通りの流れを相談したみたいです。
おさらいですが、兄の考えは 「叔母さんたちはいい人そうだし、父も迷惑かけたと思うから請求を手伝ってあげて、自分たちの受け取る金額の半分以上は叔母さん達に上げたほうがいい。」 という考えでした。
兄の担当の保険会社の人に相談したところ、 「それってどうなんでしょうね?というのも自分で置き換えてみてください。
もし同じく自分が亡くなってしまった場合に、そういちゃお金や遺産って誰に残したいと思いますか?」 と言われ、考え直したようで、残すなら自分の兄弟よりも離婚していても子供に残したいよなっと思い直しました。
兄の考えも変わって、兄は保険会社の人の紹介で弁護士さんを見つけました。
僕も兄の探した弁護士さんの話を聞きに行きました。
手数料も相場よりも安くなっており、僕の探してきたところとさほど変わらない金額でした。 弁護士さんが出揃ったので、兄と相談した結果、兄の探してきた弁護士さんに決まりました。
決め手は、雰囲気でした。 やる気ある感じが打ち合わせの時に感じられたのが決め手でした。 こんな感じで弁護士さんの選定をしました。
次は実際に請求という段階です。
期間は一番初めに話を聞いてから約2ヶ月ほどです。
早めに決めたつもりでしたが、お互い仕事しているとなかなかそういったとこに時間を割くのが難しいので、思ったよりも時間がかかったなという印象でした。
3.交通事故の慰謝料請求から判決までの時間
訴訟するまでに準備するもの
弁護士さんを見つけててから実際に依頼開始するにしてもまずは、契約です。
弁護士さんに払う報酬や依頼内容を確認してから着手です。
用意する書類もたくさんあった気がします。
契約も無事終わり、そこから訴訟に着手です。
訴訟相手と訴訟する意味
今回は事故を起した相手ではなく、保険会社との裁判です。
というのもというのも保険会社が最初に提示してくる金額というのは裁判をした時よりも少ない金額で提示してくるためです。
相手も会社なので、できれば払いたくないというのがあるためです。
小さな事故でもそうです。
時間はかかりますが、訴訟した方が、保険会社は最初の提示額よりも多い金額になることが多いそうです。
保険会社によっては、契約内容に弁護士特約というのが付帯されているものもあるので、任意保険に入るときはそういった部分を視野に入れてもいいのではないでしょうか?
僕達兄弟は準備する書類は最初の依頼するときと途中で委任状という物に署名するといったことでした。
訴訟の相手方は交通刑務所にいたので、裁判の進行はそこまで遅滞なく進んでいました。
叔父、叔母には弁護士さんから父の仕事のことについて証言をお願いされたりという事があり、そのお陰で逸失利益が認められました。
逸失利益(故人が事故に遭わずに老衰するまでに稼ぐ予定の金額) 裁判は特に遅滞などもなく順調に進んでおり、最終的には1000万円ほど多い金額となりました。
着手から判決までを簡単に説明しましたが、実際にお金が手元に来たのは着手から約2年半後でした。
4.大きな金額を受け取る事で起こる問題
保険会社との訴訟にて慰謝料の金額の確定までお話しいたしました。
今回はその慰謝料を受け取ったことによって起こる問題についてお話ししたいと思います。 今回は慰謝料という事で起こった問題ですが、宝くじのような高額系でも同じく揉め事って起こるのかなと思います。
まずは、保険会社からの慰謝料の金額は約3000万円でした。
法律上は子供の僕と兄貴で分け合うことになっているのですが、それだと叔父叔母からしたら面白くないものです。
裁判中も慰謝料を叔父叔母にわけるかどうかという話をしていました。
兄との話し合いでは、金額が確定してから良いんじゃないかという風に決めておりました。
裁判中も叔母から何度も連絡が来ておりましたが、結果が出るまでは、話を進展させることは出来ませんので、のらりくらりとかわしておりました。
何度か話をしているうちに話がどんどん変わっていきました。
一番最初は少しだけもらえればという話だったのですが、金額が確定する直前には、「全体の半分で、葬式代などは僕達兄弟持ち」という横暴な内容に変わっておりました。笑
今回の金額が大きいだけに欲が出て来るんだなと思いました。
裁判をしている間に僕らのストレスの原因は、家族間の主張がとても面倒でした。
死人に口無しではないのですが、長らく父に会っていないため父の生活状況などわかるはずもなく、
叔母が言うには 「お金の管理を自分でできない人だったから私がお金を工面したこともあった。」 などと言われても、借用書があるわけでもなく、言ったもん勝ち状態です。
離婚する前からお金にはだらしないところはあったので、わかる部分もあるのですが、それが本当かどうかなどは亡くなった後ではわからないです。
仮に本当だっとしても、一番初めの話と今の話が大きく変わっているので、一体どれが本当なのかはわからずしまいです。
こういった話を月に一度は聞くことになるので、本当に辛かったです。
まだ救いなのが、法律上では僕達が優先的に受け取る権利があるというのが救いでした。 万が一訴訟を起こされても認められる金額は微々たるものだからです。
年を取るにつれて、亡くなる確率は年々上がってくるので、自分の資産の整理をして、残す資産があるのであれば誰に残すのか。
これを明確に行うことで、残された家族のトラブルは未然に防げるのです。
私は大丈夫と思っていても巻き込まれる可能性は十分にあるのです。
なかなか両親と話をする機会は少ないですが、相続人側(受け取る側)で事前に決めておくことをおすすめいたします。
口頭ではなく正式な書面として残すために、弁護士、公証役場などでの書類作成をする事で効力のある物として残す事をおすすめします。
5.親や兄弟が亡くなった時に相続手続きをしないと起こる問題
遺産の行方
今回は離婚して離れていた父が交通事故で亡くなったことで子供である僕達に起こった相続の問題やトラブルについて説明しています。
交通死亡事故で弁護士に依頼して、相続関係一緒に手続きしてもらっていたのですが、たくさんの問題が出てきました。
正式な手続きに基づいて分配しない場合に発生する問題
今回は父が亡くなったことでが発端ですが、祖母、祖父も父が亡くなる前に亡くなっていました。
弁護士さんが調べたところ祖父、祖母共に相続の遺産の行き先がフワフワと宙に浮いていました。
そうすると、兄弟間で祖父祖母の遺産(口座のお金、土地)を協議しあって、分配しても正式な手続きをしないと相続されたと認められないのです。
少額だからと正式な手続きを行わないままにしておくと、今回の様に兄弟が亡くなった場合に相続が認められていない相続権利が次の相続者に引き継がれてしまい、終わったはずの相続権利で揉めることになるのです。
そうすると揉める事もそうですが、時間も大幅にかかります。
今回のケースは、父の資産の調査、祖父の資産の調査、祖母の資産の調査と三人分の調査のため時間が物凄く掛かりました。
それぞれの主張
僕達のケースは、祖母には微々たる現金があり、祖父は土地がありました。
祖父、祖母の遺産については、僕達は権利を主張するつもりはありませんでした。
というのもそもそも関係ないの話しだったため、これ以上話をややこしくしたくないというのが2人の意見で一致していました。
叔母の主張はこうでした。 「祖父の面倒を見たのは私だから祖父の土地は私のもので、慰謝料も1/2欲しい。」 まとめるとこんな感じでした。
僕達は呆れてなにも言えませんでした。
最初とは全く違うことを言い出したので、《相続で揉めるってういうことなんだ》と知りました。
6.お墓を守る人がいなくなったら
宗教の違いから起こるトラブル
今回の事が起こるまではお墓の事って全くわからない状態でした。
ぼんやりと「お墓ってお寺にお金払えばそのままあり続けるものでしょ?」 と思ってました。
檀家になっていればそのイメージであっているのですが、そもそも宗派が違うので、檀家という概念がない宗派でした。
父達が入っていた所はそこの場所に納骨し続ける事ができないのです。
納骨しつづけるには、そこの宗教を信仰しないといけないというルールでした。
詳細は省きますが、結構面倒な事があるのと信じていない所に入ってもどうなの?と思い、急遽その宗教を外れることになりました。
そこには父だけではなく、祖父、祖母も入っているため、叔父、叔母も同じ様な状況なのです。
叔父、叔母もそこを信仰するつもりはないため、僕達に話が来たのです。
叔父、叔母は面倒だからそこに置いておいたほうが楽というのがあり、僕達に面倒なことを押し付けようとしてきたのです。
叔父、叔母と話しているうちに向こうは、 「祖父、祖母の骨はこっちで見るけど、父の分はそっちでやってね。でも、お金は頂戴ね。」 という事です。
(こんなにストレートではないですが、簡単に説明するとこんな感じです。)
一番可哀想なのは父です。
「貰えるものはください。後は知りません。」って言われてる様なものです。
やりきれない気持ちになりました。
父親と離婚して会う機会が少なくなっていると事前に決める事は難しいですが、生きている間に家族間の話し合いができる環境に人は一度向き合って見てもいいのかなと思いました。
親族間のトラブルというのはとても難しい問題です。
というのもトラブルになれば確実に溝ができてしまい、修復することはとても難しいからです。
しかもお金の問題というのは完全に解決することはないと思います。
誰かが確実に納得できない結果になるものです。
僕達のように今後顔を合わす機会が少ないような親族の場合は、手段としては縁を切ってしまうというのが簡単にできますが、そうじゃない場合は、その親族とずっと付き合っていかないといけないという事もあるのです。
本来なら遺言書などで故人の遺志がはっきりしているものがあれば、ある程度納得できるものです。
今回のように故人の意向が全く分からないケースだと、間違いなくトラブルになるのです。
残された人がお金や相続の事で、揉めないために生前に決め事をしておいて、ストレスやトラブルを避けるために残す相手に心当たりがある方はいま一度考えてみてはいかがでしょうか?